2021.12.3

 テザリングできるようにはしてきたから大丈夫、と思って油断してたんだけど……、よく考えたら道ばたでやるわけにはいかないじゃん!っていま気づいた。うっかりうっかりー、と恋人は軽い口調で言ってみせるが、さすがにそれが演技ということはみんなに伝わった。

 私たちはそれぞれのスマホで検索をはじめる。みやび、それってテキストでできないの? さすがに今からは……。じゃカメラミュートにするとか。ウェビナーならまだしも一対一だとちょっと。私と同様エリカもリンも会社員経験がなく、あまり有効な提案ができない。

 PCとネットの準備ができてるなら、もうほんと、十分以内に座ってしゃべれる場所があればいいってことだよね。

 ウノおまえ椅子になれや。

 ほならミツがテーブルな。

 バカ言ってないで! ベラさんに一喝されて二人がしゅんとする。

 それぞれに指を動かして、周辺の飲食店を調べる。でもこんな住宅街にネカフェなんてないよね……。ルノワールとか? 喫茶店も個人経営のばっか。あ、じゃあ個室あるお店は? んーとね。検索結果の客席数を各自読み上げ、内装写真を見せ合う。あたりはすっかり夜なのに、画面のなかの外観はだいたい明るい昼間だ。スプーンとフォークのマークはいくつかあるが、カウンターとテーブル二つだけ、みたいな小体な飲み屋ばかりだ。ここが神楽坂やったらおれの店あるのに、とミツカくんがぼやく。トウモロコシの素揚げ、スカイブルーのカクテル、店主の故郷の名産だというお通しのかりんとう。私が知らなかっただけで、このへんには美味そうな店がいっぱいある。こんなときなのに、みんなで遠足の下調べをしているような、よくわからない高揚を感じている。

 だめだあ、そういう店ないよ。エリカが最初に音を上げた。