五郎丸歩がコンバージョンの前に両手の指を合わせる仕草が話題になったのは、いつのワールドカップだっただろう。高一の春にラグビーをはじめた私のポジションは五郎丸と同じフルバックだった。三年のオザキさんがピッチにいないときは私がコンバージョンを蹴ることになっていた。半年で腰を悪くしなければ私は大学でもラグビーをやっていただろうし、社会人になっても続けていたかもしれないし、もしかしたら五郎丸と対戦していたかもしれない。高校のときは、コンバージョン前のルーティンという、今では取り入れていないキッカーのほうが少数派かもしれない儀式のことを知らなかった。でも、実業団まで続けていれば、私もなにかのルーティンをやっていただろう。五郎丸の所属したヤマハ発動機との試合で、味方選手がモールの連鎖の末にゴールライン端でトライを決めて、角度のきつい長距離のコンバージョンを蹴ることになった私は、どんなルーティンをしていただろう。五郎丸はどんな顔でそれを見ているだろう?
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