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2021.4.4

 今朝の電話のときや、直後のベラさんからのLINEでも、そこにルールーがいるとはわからなかった。数時間前に想像した、宇野原さんたちの家の居間の様子──酔っぱらい三人がしまいそびれたニトリの炬燵の三辺に足をつっこんでげらげら笑っている──を修正する。もうひとつの辺に、ひとりだけ素面のルールーが入って、ベラさんとおしゃべりをし、男二人はとっくに酔いつぶれ、ひとりがふらつきながら立ち上がって神楽坂駅への急な坂を上る──。私は恋人に何と言っただろう。彼らが三人でいると言ってしまったかもしれない。

 今日はずっと仕事するの?

 仕事したり、本読んだり散歩したり。予定は入ってない。

 そう。じゃあ、散歩はわたしたちとしよう。──するで! ──するよ! 宇野原さんに加えて、ベラさんの声まで割って入ってくる。酔っぱらいが二名おりますが……と恐縮するルールーの声がとても楽しそうで、私は、するよ、と答えていた。


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