2021.7.21

と私は訊いた。まだそれぞれに独り暮らしだったころ、交際をはじめたばかりで、私たちは自分たち以外に何もない時間に耐えられず、どちらかの部屋にいるときは、いつもテレビや音楽を流して沈黙を埋めていた。土曜の夜、日付が変わったころにはじまる『世界さまぁ〜リゾート』を観ていたのも、会話なしに何時間でもいられるようになったいま思えば、週末どちらかの部屋に泊まり、順番にシャワーを浴びてから明かりを消すまでの沈黙を散らすためだった。『世界さまぁ〜リゾート』は毎回、番組の中盤あたりにちょっとしたクイズコーナーがあり、私は一度も正解したことがなかった。恋人はけっこう正答率が高かった気がする。それは、私の頭が固いというのもあるにせよ、彼女が英語が堪能で、私と知りあう前からけっこう海外のリゾートで遊んだりしてたからなんじゃないか。だから、というわけでもないのだが、唐突にはじまったクイズめいた問答に、当時の苦手意識を思い出して、私は早々に白旗を揚げた。なんかヒントある?

 クイズじゃないんだよ! 恋人は気持ちよさそうに笑う。私のよくわからん懊悩も笑い飛ばされたようで、なぜかこっちの気持ちもすっとした。