2021.12.26

 そうと決めて歩きはじめた。撤収、といったところで、九人中七人は鉄道で、私と恋人も駅を通り抜けて帰るから、ひとまず目的地は南北にひとつずつある駅のどちらかだ。ここでいきなり解散でもいいけど、せっかく近くまで来たんだし、まず南側の駅から乗る人たちを見送ろう、ということになった。武蔵小杉の林原さん、リンとエリカは何度聞いても忘れる梅ヶ丘、そしてルールーも、今日はそちらから乗るという。

 ちょっと今日は実家に泊まろうと思って、母方の。ふむ、とエリカがしたり顔で腕を組む。上野毛、というその駅が、だいたいどこらへんにあるのか、そろそろ東京暮らしも十年を超えたくせに出不精の私にはよくわからないが、そういえばルールーは江ノ島のとき、一人だけモノレールで来た。あれは実家に泊まってたのだろうか。

 みんな満腹で、一部は完全にできあがってもいて、口数少なくなりかけていたが、ゴールがはっきり見えたからか元気を取り戻した、というか、残りの体力の配分を最適化できたかんじだ。江ノ島といえば、と私は、もう六年近く前のことを思い出す。あのときも、最後はエリカの言葉をしおに引き上げた。今までずっとエリカのことを、なんか飽きっぽいやつ、くらいに思っていた。コロコロ男が変わるし。でももしかしたら私たちは、全員が同等に飽きっぽいのではないか。私たちがずっと仲良くできているのはそのタイミングがいっしょだからで、エリカはむしろ、自分もふくめた六人の飽きを鋭敏に察知して、そろそろ帰ろーよ、と言ってるのかもしれない。素面のくせに酔ったみたいに高揚した頭で、そういうことを考える。

 さっきの二人組が、遠くてごめん、と言ってたから駅までどのくらいかと思って検索してみたが、徒歩七分程度だ。歩きはじめるとすぐ、年末の賑わう大通りに出る。冷えた鼻にも排気ガスと焼き鳥の匂いがわかった。仕事納めの酒に濡れた歓声。私たちは歩道を、一人か二人ずつの列になって歩く。