そのことを、当初はヴィッつぁんについて書いてたけどぜんぶ消した、ということを、原稿を添付したメールに書いた。担当記者からの返信には、彼女も小学生のころのクラスメイトに、目が悪いけど運動が好き、という男子がいて、でも彼は野球部だから、ゴーグルにつけかえなくても、サッカーほど支障はなかったみたいです、とあった。そういえば、これも私が小学生のころ、どこかのプロ野球チームに眼鏡をかけた選手がいた気がする。たしかキャッチャーで、マスクのむこうにフレームのない眼鏡をして股のところでグーチョキパーする映像を、スポーツニュースで何度も見た。私はぜんぜん野球に興味がなく、スポーツニュースで、野球であればキャンプ情報とか怪我した選手のリハビリの進捗とか、元選手がスタジオでバットを振りながら解説したりするのにサッカーは画面端で〈今日のJリーグ結果〉とテロップが流れるだけ、みたいのにちょっとうんざりしていて、その選手のことも、大巨人だか大魔神だかというあだ名とID野球とかささやき戦法みたいなプレースタイル──しかしいったい何をささやくのだったか──くらいしか憶えておらず、もしかしたらそれも別の選手のことだったかもしれない。野球はサッカーほどボディコンタクトの多くないスポーツではあるが、クロスプレーは少なくないし、ボールが顔にぶつかったりフィールドに身体を投げだしたり、乱闘だって野球の人たちはよくするようだし、眼鏡だとやりづらいこともあっただろう。でも彼は、中学に入ったころにコンタクトレンズをつかいはじめて、野球もやめたと思います。
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