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2021.2.3

合宿の、二部練習の第二部を終え、夕食の前に風呂に入るとき、ヴィッつぁんは、服を全て脱いでからゴーグルを外した。ダーヴィッツのゴーグルは頭の形に合わせてつくられた、フレームをこめかみから耳の上にくいこませて固定するタイプだったが、ヴィッつぁんのは、ゴムベルトを頭に回すタイプだった。彼はいつも、ゴーグルの、レンズのほうを持ってずり上げるのではなく、頭のうしろに手を回し、そっとベルトをゆるめてからゴーグルを外した。もう何年も、スポーツをするたびにくりかえしているのだろうに、その所作はどこか秘めやかな儀式のような慎重さを保っていて、目が奪われる。そして彼は、ベルトをきっちりと、うっすら残る折り目の跡に合わせてたたみ、京都サンガのケースにしまうのだった。

 いやユヴェントスじゃないんかい。


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