2021.3.1

 でも、恋人の仕事が終わるのを、彼女の最寄りのドトールで本を読みながら待つことはなくなったし、玄関ののぞき穴から、レンズでゆがんだ彼女の顔を見ることもなくなった。誰かといっしょに住むのは会うことが特別ではなくなるということだ。今ではもう、彼女の顔を見るだけでうれしくなることはない。私がその顔を見ていま感じるのは生活というか日常の手触りでしかなく、それはたぶん良いことだ。