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2021.4.2

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2021年10月1日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年3月10日

 ハロー、元気?

 えっと、その声は……ルールー?

 ルールーだね。ルールーはからからと笑った。挨拶だけでわたしってわかるとは思わなかった。

 ルールーはそう言った。宇野原さんのスマホから私に電話をかけようとする女性なんてベラさんかルールーくらいのものだ。そしてベラさんは、今朝の時点ですでにちょっとふざけていたから、私に無意味な悪戯をする欲求は満たされているはずで、消去法で言ってみたにすぎない。でも、ルールーはまんざらでもなさそうな声で言う。

 なんかあれだね、悪い気はしないね、見破られるってのも。

 ルールー、はにかんでる?

 きみはそういうこと確認しなければもっと好感度高いんだけどな。ルールーのため息の奥から、酔っぱらいがわめいているのが聞こえる。──なに言うとんねん確認しようとしまいとカオルはエエやつやぞ!

 もしかして昨夜からずっと飲んでた?

 わたしはお茶。宇野原さんと久保野くんとベラちゃんは飲んで、つぶれてる。──つぶれてへんわ!おれが酒をつぶしたったんやあ!

 よくつきあうねルールー。

 ベラちゃんが久保野くん苦手みたいでさ。という言葉には宇野原さんの訂正が入らなかったから、それはほんとうのことなのかもしれない。


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