そんなことはないか。延々とつづくやくたいもない思考を打ち切ってアプリを閉じる。恋人もルールーもまだ私のメッセージを見ていない。仕事と睡眠と、それぞれのやるべきことに没頭しているのだ。
私は机に戻って、パソコンのスリープを解除する。銀行から自動送信のメールが来ていた。いくつかの文芸誌や新聞社から原稿料が振り込まれたらしい。エクセルで作ってる過去の仕事のリストを見ながら、取りっぱぐれがないことを確認する。
それからテキストファイルを開いた。何通も謝罪メールを送り、さんざん延ばしてもらった中篇が佳境に入っていた。終章を昼までに仕上げるつもりで作業をはじめた。最後に私の作品が文芸誌に載ったのは昨年末、もうそろそろ半年前になる。そろそろ次の原稿を渡さないと読者に忘れられる、ということは、前作が載った翌日からつねに抱き続ける焦燥だった。それに生活のことを考えても、いいかげんまとまった原稿料をいただかないといけない。
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