あんたみやびさんにそんなくだらんことばっか言っとるだか?
そうなんですよー、おたがい思いついたこと何でも話すから。
そうかあ。みやびさんいっつもすいません。
いやべつにくだらんことのつもりでは……、と私は口のなかでモゴモゴ言い、言うころにはもうスピッツの新曲はとっくに終わり、振り返っても先輩の家は見えなくなっていて、私は何かを言う必要を失う。
こないだの雑誌に載っとったやつ、読んだで。母がふと思いついたようにそう言ったが、感想を話しはじめる前に車は集落の路地に入り、母は口をつぐんで運転に集中しはじめ、私の、今月発売の文芸誌に載った中篇の感想は、この帰省が終わるまで聞けずじまいだった。
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