私たちはさすがに疲れて、ほとんど無言のまま、家の近所のスーパー銭湯で汗を流してから帰宅した。それから外国の街に暮らす猫についてのテレビ番組を観ているうちに母が帰ってき、後半は三人で観た。そのあとご飯を食べたのだと思うが、翌日の昼には私と恋人はまた東京に戻ったから、ひとまずはそれが現在のところ、私たちが私の両親と食べた最後の夕食で、だからけっこう豪華なものを用意してくれたはずだ。私は、ひとり胸のうちで決意を新たにしただけのプロポーズについて、いま思えば誰に知られるはずもないのに必死に隠そうとして必要以上に饒舌になっていて、しかしあの日私たちは何を食べたのだったか。
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