2021.8.27

こうやって、受け入れられるとわかっている謝罪をするのは、ただ自分が楽になりたいだけだ。じゃあぼくも返事するね。

 うん、わたしも仕事に戻る。恋人はそう言ってドアから身を起こした。あ、でもほんとに、みんなで集まれるのは嬉しいな。楽しみだね。

 そう言って返事も待たず、キッチンに置いたままだったマグを取って自室に戻っていった。その背中を、見送るほどの広さもない部屋だ。恋人はドアの陰に見えなくなった。私たちはもうずいぶん長くいっしょにいて、お互いの考えることがわかる、とまではいかなくとも、気分を害するときの感覚は一致していて、私がなんか嫌なかんじがするとき、彼女もだいたいムッとしている。壁の向こうで彼女が、いま、どんな感情で仕事を再開しているかもなんとなく伝わってくる、し、私がそれを察していることを彼女もきっと察していて、私たちはなんだかくさくさしている。