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2021.8.27

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2022年2月24日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年3月28日

こうやって、受け入れられるとわかっている謝罪をするのは、ただ自分が楽になりたいだけだ。じゃあぼくも返事するね。

 うん、わたしも仕事に戻る。恋人はそう言ってドアから身を起こした。あ、でもほんとに、みんなで集まれるのは嬉しいな。楽しみだね。

 そう言って返事も待たず、キッチンに置いたままだったマグを取って自室に戻っていった。その背中を、見送るほどの広さもない部屋だ。恋人はドアの陰に見えなくなった。私たちはもうずいぶん長くいっしょにいて、お互いの考えることがわかる、とまではいかなくとも、気分を害するときの感覚は一致していて、私がなんか嫌なかんじがするとき、彼女もだいたいムッとしている。壁の向こうで彼女が、いま、どんな感情で仕事を再開しているかもなんとなく伝わってくる、し、私がそれを察していることを彼女もきっと察していて、私たちはなんだかくさくさしている。


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

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