2021.9.18

予期してたとおりのペースで書き進められることなんて滅多にないから、書きはじめのいま年末ぎりぎりと思ってるということは、実際には二月とか三月にできれば御の字、というところで、つまり私は半年くらい、いまは影も形もなくのっぺりと白いこの作品と取っくみつづける。

 実在の人物・団体・事件などには関係のない、自分の頭んなかででっち上げたフィクションを書くことで、人間が生活できるほどの金がもらえる、というのはほんとうにへんな仕事だ。でもそんな感慨はもはや言い古されてるし、実際のところ接客バイト以外の労働をしたことのない私は、小説家がどういう職業なのか、あまり腹に落ちないままこの仕事をやっている。最後の職場の雇い止めを前に、次の仕事を探さない、と決めたときにはそれなりに覚悟を固めたし、自分の文章を読むのが好きな私にとって文章を書く仕事は天職だ、と、それが小説である根拠は見つからないながら思っているのだが、ほかを知らない以上、その確信が錯覚でない保証はない。