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2021.9.2

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2022年3月2日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年3月3日

小説を書くときに、私の場合は、どういうものを書くか考えるのがいちばん難儀だ。

 エンタメの新人賞出身の林原さんは書く前にプロットをつくって編集者と相談するとどこかに書いていた。ルールーは、BL作家なんてのは妄想する生物だから四六時中ネタを練ってるようなもんだよ、と言っていた。宇野原さんは、書きたいことがありすぎておれの一生かけてもぜんぶ書けるかわかれへん、と真っ赤に酔った顔でうそぶいていた。

 私はといえば、一作ごとに、今回は何について書くか、ウンウンうなりながら考える。それでやっと、テーマと書き出しが決まって、そのころにはだいたい締め切りが近づいてきていて、プロットを練る間もなくエイヤッと書きはじめ、あとは流れだ。テーマをつねに念頭において、なんなら紙に書いて見える場所に貼ったりして、そこから離れないように、適切な一文をひとつずつ置いていく。毎朝作業の前にそれまでの文章を読みかえし、伏線としてつかえそうな記述があれば拾う。そうやって書きつづけていくと、どこかで急に足元の地面が固まる感覚がやってくる。その場面を書き終えたら終わりだ。


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

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