2021.9.2

小説を書くときに、私の場合は、どういうものを書くか考えるのがいちばん難儀だ。

 エンタメの新人賞出身の林原さんは書く前にプロットをつくって編集者と相談するとどこかに書いていた。ルールーは、BL作家なんてのは妄想する生物だから四六時中ネタを練ってるようなもんだよ、と言っていた。宇野原さんは、書きたいことがありすぎておれの一生かけてもぜんぶ書けるかわかれへん、と真っ赤に酔った顔でうそぶいていた。

 私はといえば、一作ごとに、今回は何について書くか、ウンウンうなりながら考える。それでやっと、テーマと書き出しが決まって、そのころにはだいたい締め切りが近づいてきていて、プロットを練る間もなくエイヤッと書きはじめ、あとは流れだ。テーマをつねに念頭において、なんなら紙に書いて見える場所に貼ったりして、そこから離れないように、適切な一文をひとつずつ置いていく。毎朝作業の前にそれまでの文章を読みかえし、伏線としてつかえそうな記述があれば拾う。そうやって書きつづけていくと、どこかで急に足元の地面が固まる感覚がやってくる。その場面を書き終えたら終わりだ。