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2021.9.5

私は今住んでいる東京よりだいぶ北、海をへだてたさらに先にある大学に通っていた。あれはもう、と数えてみると十何年も昔のことだ。昨夜見た夢はそのころの記憶だった。大学のまんなかを一キロ以上あるメインストリートがつらぬいていて、その北端に一年生が授業を受ける教養棟があり、私が卒業した文学部は南端ちかくにあった。私みたいに単位を落としては投げ落としては投げしまくってると、授業のあいまの十五分間でその一キロあまりを移動しなければならなくなる。それで、私が二度目の二年生をやっていた初夏、これが五度目だという五歳上の同級生兼先輩が、一歩で五、六メートルくらい跳ねながら歩くすべを編み出した。その技術は高効率の歩法を切実に必要としていた留年生の間でまたたく間に広まり、やがて留年してない学生たちも真似して跳ね歩きをするようになった。


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