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2021.9.5

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2022年3月5日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年4月12日

私は今住んでいる東京よりだいぶ北、海をへだてたさらに先にある大学に通っていた。あれはもう、と数えてみると十何年も昔のことだ。昨夜見た夢はそのころの記憶だった。大学のまんなかを一キロ以上あるメインストリートがつらぬいていて、その北端に一年生が授業を受ける教養棟があり、私が卒業した文学部は南端ちかくにあった。私みたいに単位を落としては投げ落としては投げしまくってると、授業のあいまの十五分間でその一キロあまりを移動しなければならなくなる。それで、私が二度目の二年生をやっていた初夏、これが五度目だという五歳上の同級生兼先輩が、一歩で五、六メートルくらい跳ねながら歩くすべを編み出した。その技術は高効率の歩法を切実に必要としていた留年生の間でまたたく間に広まり、やがて留年してない学生たちも真似して跳ね歩きをするようになった。


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

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