2021.9.7

私が住んでいた街は格子状に道が延びていて見通しが良かった。だからか、若い世代を中心に跳ね歩きはどんどん広がっていき、街では跳ね歩きの教室なんかも開かれていた。見通しが良い、とはいえ、五秒ちかく浮遊してる間のことをすべて予測するのは難しい。歩法自体はすぐ修得できても、そういう危機察知能力は一朝一夕で身につくものじゃなく、見通しが良いだけに油断した同士が出会い頭にぶつかる、とか、互いに向こうが避けるだろうとまっすぐ跳ねて空中でぶつかり、そのまま五メートル下の歩道を歩く人のうえに落ちて三人とも大怪我、という事故もあった。跳んでいてすらスマホから目を離さない人も多い。空中で出くわしたら互いに足の裏を合わせて衝撃を殺し、協同して安全な場所に跳ばしあうのがマナー、みたいな不文律もあったのだが、それもけっこうな高等技術だ。