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2021.10.14

うろうろして、いまいちな見た目の家系ラーメンとか前の家の近くにも似たようなのがあったナンカレー屋とかを通り過ぎて、けっきょく歩き疲れたころに、これもどこにでもありそうな街中華に入って、花椒の効いた辣子鶏を食べて唇をひりつかせながら帰った。お互い出勤しなくなったから、と、私たちは二日に一度は一時間くらいの散歩をして、新しい土地をうろつき続けた。暇を持て余したエリカやルールーがいっしょのこともあった。どれだけ歩いても知らない路地がある。見慣れない景色がある。私たちが五年分歳を取ったのと同じように、この街やここに住む人たちにも五年分の時間が積み重なっている。この街での暮らしや散歩に慣れれば慣れるほど、この街について知らないことが増えていく。間取りと家賃で選んだとはいえ、そういう街に住めていることは幸福だ


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