2021.10.25

 ファミマに入り、それぞれの飲みもの(恋人は常温のクリスタルガイザー、私は冷えた伊右衛門)を手に取った。

 あ、カオルくん、わたしが出すよ。おとといのとき出してくれたし。

 ほんと? ありがと。二日前の散歩のときは、たしか私が、喉かわいた、と言ってぐんぐんグルトを買い、恋人はそれを二、三口飲んだだけだったが、押し問答をするのもお互い億劫だから素直に渡した。

 あと何かある?

 それだけでいいよ、買っても鞄ない、し、と尻すぼみになったのは、伊右衛門を入れる鞄もないと気づいたからだ。尻ポケットはスマホと財布で埋まっているし、横のポケットには入らない。むりやりどこかにねじ込んでも、薄くした財布でさえ異物感がすごいのに、五百ミリのペットボトルなんて入れた日には、心すこやかにそぞろ歩けない。やっぱお茶もいいや。

 べつにいいよ、百円ちょっとなんだから。遠慮していると思ったのだろう、不毛なやりとりを予感して声がざらついている。

 持って歩くの面倒だから。喉かわいたらそのとき買う。

 そう、わかった。納得したのか表情をやわらげて、伊右衛門を差し出してくる。わたしのも飲んでいいからね。ほしいとき言ってね。

 ありがと。

 じゃレジしてきます。そう言いながら、ちょっと遠回りになるお菓子コーナーに向かう。ラムネの小袋を取って、チョコの前で立ち止まる。なんか真剣な目つきで吟味しはじめた。