これで全員集合だ。男三人はみんな手ぶらで、女性陣はそれぞれにバッグを持っている。ルールーは江ノ島のときの、ぜったいに男の家から来たよあれは、とリンが言ったやつではないように見えるが、ほとんど荷物が入らないくらい小さいことに違いはない。リンとエリカは豚の鼻みたいのがついた色違いのリュックで、林原さんは誠品書店のトートバッグ、ベラさんは知らないブランドの革、そして私の恋人は、でかいリュックを背負っている。
えー、みなさま改めまして、本日は遠いところをお運びくださいましてありがとうございます。揺れはいかがでしたでしょうか。私は慇懃な感じで口上を述べる。本日はお日柄もよく……と、誰かがつっこみを入れられるように一拍おいたのだが、みんなきょとんとしていて、なにそれへんなの、とエリカがぽつりと呟いただけだった。おまえもまじめか!と彼女がつっこんでいたのは、私にとっては家を出るちょっと前で、せいぜい三十分かそこらしか経っていないが、エリカにとっては三時間あまり昔のことだ。ただ冗談が不発だっただけ、なのだが、みんなは、数年ぶりに集まったから緊張してるのだ、と思っただろうか。それでも、林原さんが、私の言葉で思い出したのか、そういえば宇野原さん、飲みもの持参って言ってたのに手ぶらですか?と尋ねる。
ベラちゃんが持っとるんで。
持たせてるの?
二人でいるときは鞄持ってくれるんだよ。ベラさんがまたのろける。これは、彼女も感覚を取り戻せていないのか、しばらく見ないうちに愛が深まるかなんかしたのか。宇野原さんは照れたように、力もちやからねぼくは!と言った。
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