2021.11.13

 また全員で集まれたことに、それなりに感慨はありつつ、私たちは、五年前とたいして変わらない会話をしながら、なんとなく歩き出している。バス停は北側に集まっているが、ターミナルはふたつ隣の駅にあるからか、ここから乗る人はそう多くない。駅を降りてくる人は、北側に広がる住宅街に帰っていくか、南口から出て飲み食いしたり買いものするかだ。広場のまわりはシティホテルとか銀行とか、あとマックやタリーズみたいな、どこの駅前にもありそうな施設ばかりだったが、それにまじって、地上げに抵抗しつづけていそうなパン屋と喫茶店があり、その角の先が飲み屋街になっている。私と恋人は、この街にそろそろ六年住んでいるが、そろって下戸では飲み屋街にあまり用はなく、家系ラーメンと、通りの果て、住宅街との境目あたりにある古書店にだけときどき行く。客引きの声が立ちはじめている。笑い声も。人が増えてきたねえ、と恋人が呟く。

 そういえばさ。リンがふと思いついたような言いかたで言う。ベラさん宇野原さん、マスクしないんですね。

 あー、気になる? 宇野原さんが気まずげに苦笑した。