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2021.11.14

今日はずっと外におるしええやろ、って、思うただけなんやけど。

 じゃあそこで、とベラさんが、これもどこの駅前にもありそうな、チェーンのドラッグストアを指さす。買ってこよっか。待ってて。

 あ、いや、そうじゃないの、変なかんじになっちゃった、ごめん。なんか制作が行き詰まっててさ。でかい銅板に孔を打ちながらため息をつくリンの姿を思い出したが、それは私が勝手に想像しただけで、そもそも彼女がどんなものを作っているかもほんとうは知らない。ほら、反ワクチンの団体とか、ただの風邪だあ!みたいなひとたちいたでしょ。世のなかがこんなになってから二人に会うのははじめてだから、わたしたち。びっくりしちゃって。

 まあ、わかるよ。ルールーが頷く。わたしたち下戸だからさ、と彼女は、宇野原会下戸組の同志である私に目配せをしてつづける。もともと付き合いでしか飲みに行かなくて、行ったら行ったでだいたい誰もマスクしてないし。

 そう、だからミツカくんもね、とリンが言い、先頭でエリカと話していたミツカくんが、ん、と気の抜けた声で振り向く。ミツカくんもマスクしてて安心した。

 おれのことやばい思想のやつやと思うてたん?

 あ、そうじゃなくてさ、


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