top of page

2021.11.14

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2022年5月14日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年5月18日

今日はずっと外におるしええやろ、って、思うただけなんやけど。

 じゃあそこで、とベラさんが、これもどこの駅前にもありそうな、チェーンのドラッグストアを指さす。買ってこよっか。待ってて。

 あ、いや、そうじゃないの、変なかんじになっちゃった、ごめん。なんか制作が行き詰まっててさ。でかい銅板に孔を打ちながらため息をつくリンの姿を思い出したが、それは私が勝手に想像しただけで、そもそも彼女がどんなものを作っているかもほんとうは知らない。ほら、反ワクチンの団体とか、ただの風邪だあ!みたいなひとたちいたでしょ。世のなかがこんなになってから二人に会うのははじめてだから、わたしたち。びっくりしちゃって。

 まあ、わかるよ。ルールーが頷く。わたしたち下戸だからさ、と彼女は、宇野原会下戸組の同志である私に目配せをしてつづける。もともと付き合いでしか飲みに行かなくて、行ったら行ったでだいたい誰もマスクしてないし。

 そう、だからミツカくんもね、とリンが言い、先頭でエリカと話していたミツカくんが、ん、と気の抜けた声で振り向く。ミツカくんもマスクしてて安心した。

 おれのことやばい思想のやつやと思うてたん?

 あ、そうじゃなくてさ、


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

Comments


© 2020 by Ryo Mizuhara. Proudly created with WIX.COM
bottom of page