なんかいつも偉そうでごめんね。
いや全然。ほんとありがたいよ。宇野原さんなんかは、書評はちゃんとしたものを書くから、読める人ではあるはずなのに、酔ってるからか照れなのか、私の作品について、なかなか良かったで、もしくは、ちょいおれ向きやなかったわ、のどちらかしか言わない。
あ、それとねリョウくん、これは言うかどうか迷ったんだけど、ぜんぶひとつながりの文として書いてたのに、三ヶ所だけ、はっきり文が切れてるとこあったよね。句点を読点に置きかえただけで。ほんとうはそれをいちばん言いたかった、でも角の立たないタイミングを計ってるうちに最後になったのがわかる急いた口調で林原さんは言い、長い評が終わった。
脱力して礼を言うころにはあたりは暮れていた。もう六時過ぎだ。どこまで来たのか見回しても、住宅街のなか、ということしかわからない。林原さんの話をメモしたまま手に持っていたスマホで地図を見ると、六年住んでる私も来たことのないあたりだ。地図にはグレーの小さな四角と旗竿地が密集していて、そこここに、飲食店を表すナイフとフォークや、病院の十字、鳥居や卍が散らばっている。
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