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2021.2.15

 もうずっと忘れていた、それで何の不都合もなかったヴィッつぁんを思い出したとたんに、ヴィッつぁんにまつわる、私がサッカー部に入ってから彼が卒業するまでのほんの三年間にすぎない、それでも数多い記憶が、ヴィッつぁんがついでに拾い上げてきたように──今朝、寝起きの頭でなにか、似たようなことを考えていたような気がするが思い出せない──よみがえってきた。

 あの夜は、ヴィッつぁんたちの学年の、夏の大会後の引退祝いでもあって、ヴィッつぁんがMVPだったのもきっと、弱視というハンデがありながらもさいごまで懸命にプレーしつづけた彼への褒賞のようなものだった。私とヴィッつぁんが言葉を交わした最後の日だ。


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