2021.3.18涼 水原2021年9月16日読了時間: 1分更新日:2022年3月7日私と林原さんはジンジャーエールか何かを飲みながら、宇野原さんとミツカくんを主人公にしたBLについて話しあう。宇野原さんも、なんだかんだ言って君島さんの小説が好きらしく、さらに酔いがすすめば、まだ二作しか発表されていない君島作品の一節を口ずさみ、ポエジーがあるッ!と叫び、ゲロといっしょに讃辞をまきちらす。だいたいそれが宇野原会のいつもの雰囲気で、参加を拒みつづけている君島さんは、宇野原さんがこんなに自分を買っていることを知らず、宇野原さんと会うとどこか萎縮した態度をとる。私はそうやって、世間の評価も、作家仲間のおぼえもめでたい君島さんに、すこし嫉妬していた。2021.3.192021.3.17
明日のこと高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...
2021.12.31行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...
2021.12.30今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...
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