top of page

2021.3.29

私は恋人とのやりとりでしか、この、もう流行遅れで、誰も憶えていないようなスタンプをつかわないし、きっと彼女もそれは同じだ。でも私たちの間では、このペンギンはいつまでも感情を運びつづける。壁ごしのWE WILL ROCK YOUとか、玄関に置き去りにされた袋とか、このペンギンのスタンプとか、私たちの間だけで通じる言語のようなものがいくつもできるのが、いっしょに暮らすということだ。

 私たちはいつかきっとこのスタンプをつかわなくなる。その終わりが、死や別れによってもたらされるものなのか、また違う、私たちの新しい言語が生まれることでもたらされるものなのか、今はまだわからない。


bottom of page