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2021.3.3

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2021年8月31日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年3月4日

 水を流す音。恋人が居間に入ってきて、自室の前のエコバッグを見、しまってくれたんだ、ありがと、と言う。うん、と私は返す。お互いにそっけない口調なのは、私たちがこれまでに数え切れないくらいこの会話を交わしてきたし、今日も交わすのだと知っていたからだ。私たちは目を合わせて微笑んだ。


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

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