2021.5.1

 まあ、とにかく、ぼくもミツカくんも一人で観る派だから。

 でも楽しかったんでしょ、と林原さんが言う。人と一緒に観る悦びに目覚めたり──。

 しないしない。首を振ってから、あまり素っ気ない態度だった気がしてきて、私は言葉を継ぐ。──でも、次は等々力でFC東京のホームゲームだからね。また客席のあっちとこっちでいっしょに観るかも。

 それ、良い。ルールーが短く言う。広大なグラウンドを挟んで反対側にいるのに二人はいっしょだって感じてたんでしょ? 躍動する二十二人のむくつけき大男たち、その上に渡された一本の視線の糸!

 BL作家の想像力やめろや!

 対岸で何度も見つめあってたんだもんね。織姫と彦星じゃない? 興が乗ってきたらしい林原さんが言い、便乗したようにエリカも、どっちが彦星かな、ていうか織姫と彦星ってどっちが攻め? などと考えこんでいる。私の恋人と宇野原さん、ベラさんとリンは、とっくのとうに私とミツカくんのカップリングに飽きたらしく、隣のテーブルで、リンが次に制作するオブジェの話をしていた。