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2021.5.27

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2021年11月24日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年3月13日

たしかにぼくは、部活指導の記憶──自分の吹くホイッスルの音、耳に響くピストルの感触、生徒の声、トラックの風のにおい──が残った頭で喋っている。文芸誌に掲載されるぼくの発言には、ぼくの勤務の痕跡がずっと残る。刻印されている。されているんだけど、読者にとってはどうでもいいことなんですよ。せいぜい君島健市郎は教師をやりながら書いてた、ということくらいで、今日生徒に反抗的な態度を取られて苛ついた、とか、幅跳びの実演して膝痛い、とかね、そう簡単に切りかえられるもんじゃないですよ、でも、書いてるときのぼくは小説家以外の何かであってはいけない。だからね、もちろん業務の手を抜くことはないから、時間とか体力は取られますよそりゃ。でも、兼業作家として書くことへの思いは、ないです。ぜんぜんない。あったとしても、書き手の就労状況なんて読者には関係ないんだからどうでもいい。


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

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