2021.6.2

 それは──。私が言葉に詰まったのは、たしかに私たちは、ぎんなんの出会いのあと、エリカやリンや宇野原さんなんかをまじえて遊ぶうち、次第に二人だけで会うようになり、私が終電を逃して、歩ける距離なのに彼女の家に泊まった夜に身体の関係ができ、そのまま今にいたる──という経緯だったもので、たしかに、何かしらの言葉でもって約束を交わしたわけではなかったからだ。

 彼女は小箱を開けて指環を取り出す。

 指のサイズ、憶えててくれたんだ? うれしい。

 それは何かのとき、オクトーバーフェスとかの雑貨の屋台で何の気なしに(を装って)訊いたのを、スマホのメモに残していたものだ。私は数字があまり憶えられず、そのとき、店員さんに頼んで測ってもらった自分の指のサイズはもう忘れた。

 じゃあ改めて──、と私はもう一度言い、にわかに緊張しながら言う。みやびさん、ぼくとおつきあいしてください。

 うん、もちろん。最初からそのつもりだったよ。