2021.6.3

彼女がうなずき、どこかで様子をうかがっていたらしい店員さんが、おめでとうございまーす!と脳天気なかんじで叫びながら飛び出してきてクラッカーを鳴らした。ほかの客席の人たちも、きっとデザートのプレートが出てきたときから横目で見ていたのだろう、おざなりにでも拍手をしてくれる。

 ども、ども、と周りに会釈をして、私はテーブルの向こうに身を乗り出して言う。じゃあ結婚を──。

 交際ゼロ日婚なんてやだ。

 そう言われてみるとその通りで、私は思わず噴きだしてしまい、私たちは酒に染まった赤ら顔でけらけら笑う。花火とクラッカーの火薬がいつまでもにおい続けて、デザートのケーキは、たしかあんまり美味しくなかった。