2021.7.25涼 水原2022年1月22日読了時間: 1分更新日:2022年3月13日おそまつさま、と返して、一緒に食器を持って立ち上がる。器に水をためて、木の匙を浸けておく。半年前の朝と同じように、LDKにはチーズの残り香が漂っていて、電動ミルのすごい音と同時に、その匂いがコーヒーに散らされて消えていく。 午前中はどうだった? 彼女は震えるミルを見下ろしながら言った。 うん、まあ、微はかどり。 微かー。 みやびさんは? わたしも、まあ。そこでミルが止まった。蓋を開け、まだ挽き残しがあったので、すこし豆を追加してスイッチを押した。2021.7.262021.7.24
明日のこと高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...
2021.12.31行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...
2021.12.30今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...
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