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2021.7.29

  • 執筆者の写真: 涼 水原
    涼 水原
  • 2022年1月31日
  • 読了時間: 1分

更新日:2022年3月13日

パンデミック前はけっこう、海外の映画祭に出張することもあったが、感染が落ち着いたあとは年に一度ほどになった。同棲する前は、私が彼女の部屋にいるときに海外の権利者とミーティングしていることもあって、ネイティブの速度で飛び交う英語はほとんど私には理解できなかったのだが、ときどき、タランティーノとかカンバーバッチとか、あとリーヴスみたいな固有名詞だけわかった。通話の相手が男だったりすると、もちろんビジネスの話しかしてないのだろうし、そもそもミーティングの最初にNice to meet youと言いあってたのはさすがに聞きとれたのだからたぶん初対面で、嫉妬する要素なんてぜんぜんないのだが、それでも、隣にいる私が理解し得ない言語で彼女と通じ合える彼が羨ましくて、終わったあとでご飯を食べながら、どんな話をしてたのか根掘り葉掘り訊いた。彼女は、たぶん私のそんな子供じみた感情に気づいてはいただろうが、部外者に話せる範囲内で何でも教えてくれて、私は、あっギレンホールって言ってたのはわかったよ!と喜んだりした。


明日のこと

高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...

 
 
 
2021.12.31

行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...

 
 
 
2021.12.30

今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...

 
 
 

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