2021.7.29

パンデミック前はけっこう、海外の映画祭に出張することもあったが、感染が落ち着いたあとは年に一度ほどになった。同棲する前は、私が彼女の部屋にいるときに海外の権利者とミーティングしていることもあって、ネイティブの速度で飛び交う英語はほとんど私には理解できなかったのだが、ときどき、タランティーノとかカンバーバッチとか、あとリーヴスみたいな固有名詞だけわかった。通話の相手が男だったりすると、もちろんビジネスの話しかしてないのだろうし、そもそもミーティングの最初にNice to meet youと言いあってたのはさすがに聞きとれたのだからたぶん初対面で、嫉妬する要素なんてぜんぜんないのだが、それでも、隣にいる私が理解し得ない言語で彼女と通じ合える彼が羨ましくて、終わったあとでご飯を食べながら、どんな話をしてたのか根掘り葉掘り訊いた。彼女は、たぶん私のそんな子供じみた感情に気づいてはいただろうが、部外者に話せる範囲内で何でも教えてくれて、私は、あっギレンホールって言ってたのはわかったよ!と喜んだりした。