2021.8.20

 ここに越してきてから五年ほど、パンデミック下で保育園が閉まっていた何度かの数ヶ月を除いて、平日なら毎日、子供たちは私の窓の下を歩いた。でも、私がその姿を見下ろしたことは一度もない。そこまで強い興味を持っていないから。

 それで私の中には、五年ほどかけて、彼らのイメージが育ってきた。タクミくん、アカネちゃん、そしてリョウ、実際とはかけ離れているはずの人物たち。でも声だけは知っている──と思ったが、鎧塚みぞれやトム・ハーディみたいに、まったく別人がそれらしい声で演じているだけかもしれない。私の想像のなかで生きているという点で、私にとって下の子供らは作中人物みたいなものだ。