2021.8.30

 マリアは、見下ろしている私の耳に笑い声が聞こえるくらい楽しそうだったし、はじめて正面から見る気さえするその日のミツカくんもまんざらではなさそうで、同じ言語で喋ることができれば、二人の間に何かが芽生えていたかもしれない、と思いつく。

 とはいえ、そんなのは私のおセンチな感傷でしかない。どっちにしろこの数日後にはマリアは京都に行って、関空から南米のどこかに帰っていったのだし、数ヶ月後にミツカくんは自分の店を開いてお客を中心にいろんな女性と寝まくることになる。このツーショットにいちばん良いリアクションをするべきミツカくんは〈りょ〉のあとまったく発言せず、ルールーの〈きれいな人だね〉だけでみんなの会話は流れていった。

 私は窓枠にもたれて入力する。