2021.8.6涼 水原2022年2月3日読了時間: 1分更新日:2022年3月14日 私はなんだか回想ばかりしていて、原稿もぜんぜん進んでおらず、なんというか思考が散漫としてきた。生まれてから三十数年間、一日に一日ぶんずつ記憶が増えつづけている。今を生きるのは、いつか過去になる時間を積み重ねていくことだ。私は生活しながら、未来を見るように今を見て、今を考えるように過去を考えて、過去を振り返るように未来を振り返る。私がヴィッつぁんとリストバンドの話をしたのは、プロポーズ大作戦に大失敗したのは、恋人が墓場でヤスミンとミーティングをしたのは、もしかしたら未来のことかもしれない。2021.8.72021.8.5
明日のこと高台にキャンパスがあり、坂を下ったところに附属の小中学校があった。私はそこで九年間を過ごした。私が小学校に入学したときは教育学部附属だったが、通ううちに教育地域科学部になり、卒業するときは地域学部になっていた。とはいえ、入学式を終えたばかりの児童にその違いはよくわからない。...
2021.12.31行ったねえ。恋人が、みんなといるときよりゆったりした口調で言った。 行ったねえ。私も同じように返す。どちらからともなく手をつなぎ、北口から駅を出た。南口側ほど栄えてはいないが、こちらも駅を出てすぐは飲食店街だ。といっても、大晦日にもなるとチェーン店の多い南側と違い、北側はも...
2021.12.30今年ぃ?とミツカくんが怪しむ。そうだったの?と今年ずっといっしょにいた恋人が目を見開く。あ、いや今日、今日考えてた、と慌てて訂正した。 今日ずっとでもたいがいやわ、とミツカくんが笑う。 まあでも今年ずっとよりはマシやろ。...
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