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2021.9.11

午後の授業がはじまっていて、メインストリートに人影は少なかった。この時間は履修してない人がちらほら、のんびり散歩する大人たち、ゆったりとした時間だ。と思っていたら私とすれ違うように、すごい早さで自転車の金髪が走り抜けていく。留年生だろうか。たしかあのころ、学内での跳ね歩きは禁止されていた。その、誰も従わなかった貼り紙は歩道から見える範囲にはなさそうだが、禁令は今も生きているのだろうか? サイン本やPOPを置いてもらえないか、けっこう粘って交渉したせいで、約束の時間に遅れそうになっている。私は七年、彼は十年、規定の期間で卒業できなかった二人が、そんなに時間を気にすることはない、と思いつつ、もし私が跳ねていって、学食の二階の窓から飛びこんでいったら、あのひとは笑ってくれるかな、と思いついた。


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