とはいえ、図書館を辞めてからもう五年あまりが過ぎた。三十代の五年間の職歴が空白では、どうにか働き口が見つかっても、今と同じくらいの収入は望めない。何度、どういう仮定のもとに考えたって、ここで踏ん張ってくしかない、という結論は変わらない。だったら考えても詮はない、とわかっているのだが、どうしても考えてしまう。今みたいに小説を書きあぐねてるときは特に。
書きあぐねたときにどうやって脱出するか、というと、書くしかない。たぶんもっとスマートなやりかたもあるだろうし、そもそも次の一文に迷うことがない人もいるのかもしれないが、私はいつも迷う。そういうときはとにかく書く。何でも書いてやる。そしたらそのうち道が開ける。数打ちゃ当たるのは言葉も同じだ。
Comments