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2021.9.27

 私は世界各地の、行ったことのない場所を舞台に小説を書く。日本代表は世界各地の、渡航先としてあまりメジャーでない国に遠征する。トルクメニスタンやウズベキスタンについて私が知ってるのは、その国にもサッカーをやってる人がたくさんいて、アジアカップとかで日本と試合をしたことくらいだ。アウェイ戦のとき、チームは試合の二、三日前に現地入りして、練習のあととかに、何人かが宿舎のまわりを散歩する。それが散歩隊だ。そのなかでも古株で、十年以上代表に選ばれ続けたのが川島だ。パンデミック下の数年間は活動を休止していたが、WHOが終息宣言を出して最初の遠征で、隊は再び、力づよく歩き出した。数年の間に代表のメンバー自体が大きく入れ替わり、散歩隊員も刷新されたなか、変わらずに先頭を歩いていたのが、引退してすぐ代表のGKコーチに就任した川島だった。


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